K'sシネマで台湾映画の特集をやっていて、見逃していた『熱帯魚』が日本最終上映。というわけで、行ってきた。
あらすじはこんな感じ。
熱帯魚 : 作品情報 - 映画.com
1990年代の台湾が舞台。ノスタルジックで、昭和40〜50年代の日本の雰囲気に満ちている。
昔はよかった、とはなるべく言わないようにしているけれど、こういう映画を観ていると、世の中が、そんなにめちゃくちゃ進歩しないほうが生きていて幸せなのかも?!と思ってしまう。
誘拐の主犯格の男が交通事故であっさり死んでしまい、残された子分は誘拐した子供たちを抱えて困り果て、子供たちを連れて生まれ故郷に帰る。
海辺の小さな村。彼の親族は「見世物小屋のヘビ女」で食いつないでいるが、客に「詐欺だっ!」と言われたりして、時代に取り残されつつある。
ヘビ女役のおばちゃんが、特にいい味出してる。台湾の都会のお受験事情や、どんどん成長していく社会、貧しい地方と人々を対比して描く。でも、成長についていけてない人々のほうが、心が豊かで、魅力的に見える。
このフライヤーは、多分、2019年にデジタルリストア版が公開された時のもの。見逃していた作品を、映画館で観ることができて本当によかった。
今、こうしてブログを書いていても、思い出すとウルウル💦 甘酸っぱい青春の日々、海辺の村、ノスタルジー、人間模様...。あたしが好きな要素がみんな入ってる。この作品、古い言い方をすると人情喜劇なのかもしれない。
監督のチェン・ユーシャンは、今年(2023年)公開された日本映画『1秒先の彼』の原作『1秒先の彼女』の監督・脚本も担当している。寡作な監督、もっともっと彼の世界観を味わいたい。
そうそう、ヘビ女のおばちゃん一族は、誘拐された子供たちの親を脅して、一儲け企んだのだが...。
【この先ネタバレあり】
ラストシーン近く、誘拐された子供たちの親を脅して、一儲け企んだヘビ女のおばちゃん一族は、危うく逮捕されそうになるが、誘拐された子供の1人に「この人たちはボクらを守ってくれたんだ」と庇ってもらい、難を逃れる。このシーンも、吉本新喜劇みたいにベタなんだけど、感動的。
August 2023@K's Cinema