かつての大女優役は、イザベル・ユペール。実際は、フランスの国民的大女優。下記のリンクで、彼女のカッコよさがわかります。
69歳のイザベル・ユペール。 自然な美しさを貫く、パリジェンヌビューティーをプレイバック。 | Vogue Japan
イザベル・ユペールの出演作品を復習していたら、『主婦マリーがしたこと』(1988) という作品を観たことを思い出した。地味めな主婦役を大迫力で演じてたんだけど、身の毛がよだつようなラストシーンが待っていた。
この作品『私がやりました』では中盤から登場して、大げさな動きと表情で、若くてピチピチした女優2人を差し置いて、観客を惹きつけまくる。
舞台はアメリカが禁酒法をやっていた少し後。もちろんインターネットもコンプライアンスもないし、AIに翻弄されることもない。昔の映画風に新聞の見出しが踊ったり、電話のベルもレトロ以上にレトロ。視覚と聴覚で、1935年にタイムスリップしたような錯覚に陥ってしまう。それも、フランスの。
フランス語がシャワーのように降ってくる。フランス語の響きが好きじゃない人には、キビシイかもしれないけど、女優たちがブジュブジュ喋りあうのを聞きながら、大アナログ時代の幸せなフランスに飛ぶことができるのだ。
監督のフランソワ・オゾンは、『8人の女たち』(2002) でカトリーヌ・ドヌーブなど、錚々たる女優陣を手のひらの孫悟空状態にした(ような気がする) フランスの名監督。今年の初めには彼の監督作品『すべてうまくいきますように』も公開された。あたしが今年観た映画のナンバーワン。
ま、書き出すとキリがないけれど、フランス語とレトロが好きなら、『私がやりました』は、観る価値ありの映画だと思う。全国順次公開中。
新宿三丁目のキノシネマは、シネマート新宿と同じビルに入っている。
Nov 2023 @キノシネマ