ABOUT THE MOVIE|映画『秘密の森の、その向こう』 公式サイト
見終わってから知ったんだけど、監督のセリーヌ・シアマは、スタジオジブリ作品の大ファンだそう。なるほど、納得。言われてみれば、このファンタジー感は、ジブリを彷彿とさせるような気がする。【ネタバレ・主観に続く】
【ネタバレ・主観に続きます】観る予定がある人は スクロールしないでね
観に行くキッカケは、"8歳のネリーは森の中で少女と出会う それは8歳のママだった---" という一文。
フランス映画の醍醐味は「十分に説明しないわかりにくさ」とか「ブジュブジュ話す眠気を誘うこともある心地よい言語」だと思っていて、そういう意味では、好きなフランス映画の要件を満たしていた。
ドンくさいだけかもしれないけれど、祖母が亡くなったことも、母が喪失感から家を出たこともよくわからなかった。それだけ、わかりやすい展開に慣れていた自分に気づいたりもする。
この作品は全編73分。サクッと観られるが、ちょっと物足りない気持ちもある。もちろん映画は長さだけじゃないんだけど、短篇に近い感覚はあった。
8歳のママ役と、8歳の主人公(ネリー) 役は、実際に双子の姉妹が演じている。当たり前だけどよく似ているので、観ているうちにだんだんわからなくなってくる。心地よい魔法だから、そのまま魔法にかかっちゃえばいいんだろう。
フライヤーには「今年、最高の映画」とか「圧倒的に胸を打たれる」「娘、母、祖母 三世代をつなぐ癒しの物語」なんて書いてあり、もっと想像力が豊かならいろんなおもいを巡らせることもできるだろうけど、あれっ?!っていう感触があった。
ま、本当に主観的なコトなんだけど「自分が31歳の時に母が死んでしまう」とか、そういうことって知らないほうがいい気がする。「未来から来た人」に対する憧れに似た感情は、世代的にも「時をかける少女」から、あたしの中に脈々と続いていて、流れ続ける小川みたいなもんだなぁ..。
ラストシーン、8歳のママと8歳の主人公ネリーは抱きしめあって別れ、ネリーの母は戻ってくる。祖母の家の片付けが終われば、この土地を離れていくんだろうし、結局、何もなかったという話になってしまう。
ま、要するに、あたしはファンタジー系に向かないんだと痛感。ジブリも『千と千尋の神隠し』くらいしか観てないもんね。
2022/11月 ル・シネマ