新宿シネマカリテ、渋谷WHITE CINE QUINTOでの上映は終わりましたが、2/12(土)から横浜ジャック&ベティで上映中!3月にはアップリンク吉祥寺でも上映予定!全国順次公開中です
ミレニアル世代を描くアーティスト、アマリア・ウルマンの長編初監督作品『エル プラネタ』。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS
この映画のほとんどを占めるのは、実の親子だという母娘のやりとり。お母さん(役柄では) 万引きはするわ、他人のツケにして豪勢な食事はするわ、大嘘ついてプレタポルテの服をオーダーするわ。なんだけど、すっとぼけてて、憎めないキャラ。せっせと英会話の練習をしたりして。あと、お出かけする時に必ず着る、一張羅のロングの毛皮がすごい。
で、彼女、女優初出演作なんだってね。そう、スタート地点は、人それぞれ。そういう意味でも、励まされる。
離婚後の慰謝料が振り込まれなくて、親子揃って、電気を止められるほどのどん底貧乏生活なんだけど、クスッと笑っちゃうユーモアがほとばしってて、悲壮感が感じられない。スカッとしてる。
観終わって、新宿駅の通路を歩いていた時、思い浮かんだのは一言は「これでいいのだ!」。
ま、嘘も万引きもよくないコトではあるけれど、このクレイジーなお母さんを見ていると、わけもなく納得してしまう。人間は生きていく。どうせ生きるなら、あっけらかんと生きていきたい。ユーモアを忘れずに。
そう、お母さんを見てると、つくづくスペイン人だなぁって思ってしまう。今でこそ(経済的には) あまりパッとしないスペインだけど、大航海時代はすごかった。アメリカ大陸を中心に、アフリカ、アジア、世界中に領土を持っていた。
スペイン人と付き合ってみると、そんな過去の栄光が遺伝子として組み込まれているのでは?と思ってしまうことがある。鷹揚で、どこか世の中を舐めてる感を感じたり。またいい時代がやってくるかもしれない...と。うまくいかなかったり、ネガティブなことはユーモアを持って弾き返す。
そういう生き方は、これからの時代、とっても大切だと思うのだ。
お母さんのことばかり書いちゃったけど、主演は娘で、初監督作品。ゴダールの後継者という評判もあるほど、期待されている。全篇モノクロっていうのも、あの頃を思い出させるのかもしれないけど。
全編に漂っているのは、それこそゴダールの時代と同じヨーロッパの香り。ただ、映えこそすべて的な感覚や、恋愛、感性が異なっているんだわ。新しい時代の幕開けを感じさせる作品。『エル プラネタ』という映画のタイトルを見かけたら、ぜひ観てみてにゃ。
【思い出】昔々、初めてスペインのサラマンカに語学留学した時のこと。到着早々、1泊旅行に行ったのが、この作品の舞台になっているヒホンという街。
人口は27万人ほど。映画にも登場する海岸沿いの風景が、とても美しい。スペインでよくある中世的な中世的な街並みも、懐かしかった。後半に映し出されるセニョーラたちも、あの頃と同じイメージ。変わらないなぁ。
あと懐かしかったのは、親子ゲンカの後、娘がお母さんに「散歩に行こう」と誘い、行った先が el corte inglés😁 スペインを旅行したことがあれば、一度は立ち寄ったことがあるかも。日本でいえばイオンモールみたいなものか。
あと娘がお母さんを呼ぶとき「ママ〜!!!」って、2つめの「マ」にアクセントを置いて、叫ぶのを聞いて、ホームステイ先のアナっていう女のコも、よく思いっきり叫んでいたのを思い出したりして、もう懐かしい尽くし!
Enero 2022