山中千尋 公式Xより https://x.com/chihiroyamanaka?s=21&t=y6gxOaULYwYUBc7RJv5EiA
山中千尋さんを知ったのは、J-Waveでクリス智子さんがナビゲーターを担当している、午後の番組だった。ゲスト出演した山中千尋さんのトークは炸裂していた。
ニューヨークでセレブのお誕生日パーティーでピアノを弾く仕事が入り、当日、行ってみると犬のお誕生日会だった。
禁じられている他人の楽器を運ぶバイト、空港の職員に「本当に君の楽器なら、演奏してみなさい」と問い詰められ、ぷーっと吹いて「これがあたしの音楽だ」と開き直った話。
今回のライブでは、福島に住んでいるおばあちゃんの話が語られた。
新しいアルバムのタイトルを訊かれ『甘い生活』と答えると、おばあちゃんは言ったそうだ。
「生活は甘くねえ」
「他の言い方としては、美しい人生...」と、山中千尋さんが続けると...。
「人生は美しくねえ。もっと大変なもんだ」
「じゃあ、おばあちゃん、何てタイトルがいいと思う?」
おばあちゃんはしばらく考えて、言った。
「渡る世間に鬼ばかり」
こういうトークが散りばめられつつ進むステージ、心の中では抱腹絶倒だったが、手を叩いて笑う雰囲気ではないような気もした。(リビエラ逗子マリーナ在住の方々が、けっこういらっしゃったような...)
もちろん演奏もすごい。彼女のピアノ、ウッドベース、ドラムのトリオで、今回は入れ替えなし。ニューアルバムからの曲を中心に、2時間たっぷり演奏してくれた。
とにかく全部攻める。音楽もトークも。彼女が「戦闘服」と呼ぶ、キャミソール系のドレスに身を包み、想像を遥かに超えて、彼女のピアノは力強い。情熱がほとばしっているのだ。
トークの話、あとひとつだけ。新しいアルバムに "To S." という曲があって、ウェイン・ショーターと坂本龍一に捧げたという話を、前述の福島のおばあちゃんにしたら、「その曲は、じいちゃんにも捧げないといけねえな」と言ったそうだ。「なぜ?」と訊くと、おばあちゃんはこう言った。
「じいちゃんの名前はシゲル。じいちゃんがいなかったら、千尋は存在してないんだよ」
終演後、CDにサインをしていただき、ちょっとお話もさせていただいた。「また来てくださいね」と言ってくれたので、また行こうと思う。
場所に合わせて、いろ〜んなトークのバリエーションがありそう。有名なジャズクラブよりは、ちょっと郊外の手作り風ジャズスポットのほうが、おもしろそう。すでに、心は次回に飛んでいる。
【現在、彼女は絶賛全国ツアー中です。書いた内容でネタバレになることもあるかもしれませんが、実際のライブでは何百倍もの発見があると思います。インスタライブもやっていますが、ぜひ!お近くのライブ会場へ!】
ところで、リビエラ逗子マリーナに到着したのは、夕暮れが迫るころだった。お天気もよく、素晴らしい夕焼けを見ることができた。逗子マリーナに憧れた世代。ホテル・カリフォルニアみたい。