【ライブ】穐吉敏子(秋吉敏子) @ブルーノート東京 母娘共演 W/Monday満ちる すごいパフォーマンスをみせていただきました

「有楽町に"コンボ"というジャズ喫茶があった。レコードを入手するのがむずかしい時代。お店でレコードを聴いて、サイフした」

 サイフ?財布?

 採譜でした。

 モノも情報もない、終戦後の音楽シーン。いわゆる焼け野原から立ち上がり、アメリカへ行き、生き抜き、成功した彼女の言葉はひとつひとつが、重い。だけど、さりげなく話す。サブスクで、音楽を滝のように聞くことができる今の時代、想像もできない未体験の時代。時間旅行をして、貴重なエピソードを聞いた。

f:id:megmikke:20221119221511j:image 左寄りのアリーナ席、ピアノのほぼ正面、前から2つめのテーブル。ときどき、ピアノを弾く彼女の指が見える。まるでモーゼの十戒のように、観客の頭や体がすーっと引くと、白い指が闇に浮かび上がる。1曲めは "Long Yellow Road"。

 娘のMonday満ちるは、フルートとボーカルでコラボ。ブルース系からアンコールの『月の砂漠』まで歌い上げた。

 どんな母娘共演になるか、それみ楽しみのひとつだったんだけど、Monday満ちるは至って謙虚。ヘンな言い方かもしれないけど、アメリカ生まれ、アメリカ育ち、それでも仕草がとっても自然に日本人っぽい。母が「満ちるに助けてもらってます」と言うと、「いえいえ、そんな、そんな」というようなリアクション。徹底的に秋吉敏子をサポートしていた印象。

 Monday満ちるは、開局してすぐのJ-Waveでナビゲーターをやっていた。担当番組が月曜日だから、Monday満ちるっていう芸名をつけた...っていうエピソードを聞いた気がしたけど、検索してもヒットしなかったので、気のせいかも。

 当時はネイティブな英語を喋る、イケイケ モデルチックなシンガーっていう印象だったけど、すっかりしっとりした女性に。長い年月が流れた。

 穐吉敏子(秋吉敏子)は1929年生まれ、見た目はかわいいおばあちゃんなんだけど、いざピアノに向かうと空気がピンッと張り詰める。そして語りには、決して折れない力を感じた。

アメリカに初めて行った頃は、人種差別がすごかった。お手洗いに入っちゃいけない。バスは後部座席に座らなきゃいけない。いろんな制約があった」

 演奏中に震度3くらいの地震があった。照明機具など、まあまあ揺れて観客席はちょっと動揺。でも彼女はまったく動じず、ひるまずピアノを弾き続けた。演奏が終わってトークに入っても、地震には一切触れない。

 そして、アンコール前のラストで、Monday満ちるが "HOPE"「希望」を歌った。

「軍需工場があったので、アメリカは広島に原爆を落とした。草も木も生えないだろうと言われていたが、復興した」。

 この歌についてはAmazonのレビューが参考になりました。レビューにも登場する中川住職は、この日、会場にいらしてました。

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 そしてアンコールは『月の砂漠』。とてもフレンドリーな雰囲気、忘れられないライブになった。同じテーブルに座っていた人と「素晴らしかったですね〜」と、感情をシェアしちゃったりして。それがとても自然。

 ブルーノートのオフィシャルサイトで、ライブレポートがアップされてます。ステージ写真、セットリストも掲載されているので、ぜひ。

f:id:megmikke:20221126001757j:image TOSHIKO AKIYOSHI SOLO / Guest:MONDAY MICHIRU|LIVE REPORTS|BLUE NOTE TOKYO

 あと、毎日新聞YouTubeにインタビューが収録されているのを発見。

 ライブが終わってからもインターネットで確認して、いろいろ想いを巡らすことができるのは、今の時代のいいところ。本当に素晴らしいパフォーマンスを体験させていただき、ありがとうございました。

ストーリー:「ジャズは私の人生」 秋吉敏子さんの70年 - YouTube

ブルーノート東京のサイト
 TOSHIKO AKIYOSHI - 秋吉敏子|ARTISTS|BLUE NOTE TOKYO

追記:ブルーノート東京から、ご本人たちからのメッセージが届きました。

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2022/11/14 @ブルーノート東京

 

(敬称略)