コンサートが開催されることを知った時、浮かんだ率直な感想は、こんなことを書いたら失礼だけど、「えっ、歌ってるの?」。「フォークの神様」と呼ばれた彼の歌声を、生で聴いてみたかった。
会場は、ティアラこうとう。彼と同じ年代の人々で溢れていた。コンサートが行われることを知るアンテナを持っていて、ちゃんとティアラこうとうに来て、ライブを楽しむってすごいこと。若かったころ、血気盛んだった世代。
ステージに現れると、客席から「おかばやし〜!」と、掛け声(男声)がかかった。「さん」とか、つけない。
「大っ嫌いなプーチンに、ますます似てきちゃって...」と、ご本人はユーモアたっぷりに話す。
『山谷ブルース』で、歓声と拍手が巻き起こると、演奏を中断して「いやぁ、いいねえ。こうやって盛り上がるの」なんて、言ったりする。
あたしはさすがにリアルタイムでは、彼を知らない。ただ、ものすごく尖った人という印象だけがあった。でも、いま、ここでステージに立っているのは、いわゆる好好爺。満足している余裕が感じられた。
彼自身で、今までの人生についても語った。農業を営んでいること、演歌への転向、エンヤトットミュージックの創出、そして2021年、23年ぶりの新作アルバムをリリースしたことなどなど。
会場であたしが一番若いかもくらいの勢いだったが、もっともっと若い男性も見かけた。伝説化している「岡林信康」を体験したかったのか、訊いてみたかった。
隣りの席の女性は「『くそくらえ節』が聞きたい!」とけっこう力をこめて言っていた(ように聞こえた)。主観的かもしれないけれど、あの世代の反骨心は、長い時間を経ても、薄れていないように思った。あたしが知らな過ぎたこともあったけど、知らない曲で盛り上がる観客を、ちょっと(かなり) 醒めた目で見ていたような気もする。
世代が上のコンサートって、現在、あまりない体験。いろいろな学びがあった。
彼のことをもっと知りたければ下記サイトを
岡林信康 Nobuyasu Okabayashi Official Site | 岡林信康オフィシャルサイト ライブスケジュール、リリースなど最新の情報をお届けします
(敬称略)
2023/12/7 @ティアラ江東