「ル・シネマ」が「ル・シネマ 渋谷宮下」となって移転。そのオープニング上映は「マギー・チャン レトロスペクティブ」だった。
マギー・チャンのすべてを知っているような気になっていたけれど、案外、観てない作品が多いことに気づいたりして、いい機会なので、観に行くことにした。
初めて行く「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」。宮益坂下の交差点にあるビックカメラの上、昭和なビルに入っているんだけど、エレベーターを降りると打って変わって、照明を落としたオトナな雰囲気。
1階入口は昭和。
エレベーターを降りると文化の香りが。
ゆっくりと回る巨大な円柱のフライヤー棚。隣りの人が、いつまでも動かない...なんて悩みもこれで解決するか?!
さて作品について。テレサ・テンの歌をモチーフに、昭和の歌謡映画のような世界が繰り広げられる。返還前の香港、一旗上げようと中国本土から来た男女に降りかかる様々な出来事、引き裂かれる愛、香港からニューヨークへ、そして...。
個人的にも、1990年代の香港が、本当に好きだった。この映画を観ている間じゅう、あの頃の香港に身体ごとタイムスリップして、あたし自身の思い出や出来事も一緒に蘇ってきた。
テレサ・テンが亡くなったとき、台湾人の友達と香港にいて、美容院に行ったら「鄧麗君 謎死」って書かれた週刊誌が置いてあったっけ。
未来は明るいと信じて突き進んでいた...っていうか未来は明るいのが当たり前で、それ以外は考えられなかった。若くて、途上で。ノスタルジーに埋まっちゃいけないと思いつつ、いい時代だったと、改めて思った。
マギー・チャンは、顔立ちはソフトなんだけど、ふとした表情が凛としていて、生きる力と力強さを自然と身に纏っている。魅力的な女優だと、これまた改めてつくづく思った。
この映画、好き過ぎる。ル・シネマを残してくれて、長い年月を経てこの作品を観る機会をくれた、東急グループさんに大感謝!
この後、備忘録的にネタバレ・ストーリーがあります。この映画を観てみようと思っている人は、読まないでね。
もうすぐネタバレ