彼の第一声は「こんにちは」だった。「こんばんは」 だったかもしれない。いずれにしても、彼独特の、 ファルセットのような高い声は、どこか脱力感を伴っていて、 復帰できるかどうかとか、 このまま引退しちゃうんじゃないかとか、 心配すべてがそよ風に乗って、軽~く吹っ飛んでいくような気持ちになった。「悲しみを自転車のカゴに入れて」とか、 彼の世界から紡ぎだされ、じんわり沁みてくる言葉たち。
マッキーは特に好きだったわけじゃなかったけど、 振り返ってみると、いつもどこかで彼の歌が近くにあった。 ある時「彼の声を生で聞いてみたい」と思いたち、 チケットを買おうとした矢先、2020年2月の事件が起こった。 そう、ライブは旬。観られるときに、観ておかないと、 未来がないこともある。
「いいなあ、国際フォーラム」と、彼はしみじみ言った。 国際フォーラムのステージで歌えることを、 心底楽しんでいる彼と同じ空間にいると、 彼の幸せ感がひしひし伝わってくる。この感覚こそ! 生ライブの醍醐味なんだと思う。配信ライブでは味わえないリアル。
「これから雑談をするので、 お手洗いに行きたい人は行ってきてください。ボクも53歳になり ました」。
音楽家の現役寿命が長くなっている現在、昔々、 巷でよく流れていた曲を、ライブで聴ける機会が増えた。 大好きだった『まだ生きてるよ』は歌ってくれなかったけど、 今の彼はもうあの頃の彼とは違う。(これまた歌ってはくれなかったけど)『 朝が来るよ』の歌詞や曲調が今の彼にピッタリな気がする。そういう今を味わえるコトが、 今の時代の年を取るよろこびなのかも。
そう、当時は聞き流していた「チキンライス」の歌詞が、今、やっと響いたように。作詞は松本人志。
「笑われるかもしれないけど、もう大丈夫です」
会場は苦笑に近い雰囲気に包まれた...ように感じられたけど、ゆっくり年齢を重ね、 その年齢でしか歌うことができない歌詞と歌をつくっていってほしいと願う。楽しみにしてるよ、マッキー♪
↑上のステージに掲げられていたのが、この船のイラスト。ちなみに収録が入っていて、今日のライブの模様はWOWOWでオンエアされるそう。
槇原敬之 @ 東京国際フォーラム ホールA (東京都) (2022.07.13) | ライブ・セットリスト情報サービス【 LiveFans (ライブファンズ) 】
2022/07/13 @東京国際フォーラムホールA