小雨が降ったり、止んだりの日曜日。CLUB QUATTROが入っているビルは、BOOK OFFが閉店していて、なんだかさびしい感じ。クアトロに入ると、流れているのは1930〜1950年代のブルース。
しかし!ライブは熱気ムンムンで始まった。
T字路sは、男女二人組のブルース・バンド。メンバーはギターとボーカルの伊東妙子さん、ベースは篠田智仁さん。ちょいとブルース・フレーバーではなく、ディープなブルース。力強く、たくましく人生を歌う。人生は楽しいことばっかりじゃないけど、人生賛歌。それも全力で、全力で応援する歌たち。
昭和の表現で言えば、ダミ声。そのザラザラっとした声が、どこか懐かしくて、たまらない。まずは1曲、聴いてみて。
T字路s - T字路sのテーマ (Official Music Video) - YouTube
ボーカルの伊東さんは、心底尊敬するという浅川マキの「少年」をカバーしていた。ベースの篠田さんがローティーンのころのヒーローは、ストリート・スライダーズだそう。
今回のライブでは演奏しなかったけど、中島みゆきの「ホームにて」もカバーしている。
本場のブルースのカバーも。グッと渋く、渋く、ベッシー・スミス。愛する恋人を殺してしまった女性が、電気椅子で処刑してほしいと繰り返す、日本語の歌詞は伊東さんの訳詞だそう。人生には楽しいことや笑いもあるけれど、苦しみがあり、涙があり、罪もある。当たり前のことを忘れて、いいとこ取りしようとしてないだろうか?と、自分に問いかけてみる。
観客は年齢層高め。どこかブルージーな雰囲気。憂歌団の木村さんみたいなハンチング帽を被ってた人もいた。そう、彼らの音楽はどこか憂歌団の香りもするなぁ。
帽子ついでに言うと、ベレー帽。ボーカルの伊東さんも被ってたし、物販でも売っていた。ベレー帽って、おじいさん画家のイメージなんだけど、脈々と受け継がれてる。辛子色のワンピースで歌う姿は、かしまし娘を彷彿とさせたりもする。
今年の夏、西武そごうのキャンペーンのテーマになった「買い物ブギ」の録音時には、家から雪平鍋、中華鍋などを持ってきて、パーカッションとして使った、なんてエピソードも披露してた。
MCで「汗かき ベソかき」なんて言い回しも出てきて「365歩のマーチ」を思い出したり、もうとにかく昭和なんだわ、何もかも。
極まったのは「新しい町」。泣きました。
1部2部構成、全部で2時間半。スタンディングのライブでヘロヘロになる今日この頃だけど、ガッツとパワーでグイグイ引っ張られ、時間の感覚がなくなった。
人生は、ずーっと続いていく。がんばり過ぎないくらいにがんばって、少しでも、いい人生にしていこうと背中を押してくれる、ステキなライブだった。
2018/11/04