【ライブ】マリア・マルダー 伝説に彩られたルイジアナの女王

 昔々、ラジオ関東(現:ラジオ日本)で、全米トップ40という伝説の番組がオンエアされていた。カウントダウン・プログラムの先駆者。土曜日の夜、アメリカのヒットチャートを40位から順番にかけていく。今では想像もできないくらい、洋楽の情報が極端に少なかった時代、本当に貴重、レアな曲がたくさん聞けた。ロック人生のすべては、この番組から始まった、と言っても過言ではないくらい。アメリカ側のDJは、ケーシー・ケイスン。日本側は、ロック界の生き字引 湯川れい子

f:id:megmikke:20190630004523j:image マリア・マルダーもこの番組で知ったシンガー。"Midnight At The Oasis" という大ヒット曲があった。1974年 ビルボード最高位6位、年間チャート13位だそう。そう、今はちょっと検索すれば、何でもわかっちゃうもんね。

 ラメ入り、黒いキラキラしたスーツで登場! つい最近、41枚目のアルバムを出した!って言うから、聞き違いかと思ったけど、後になってチェックしたら、本当だった。あたしの中では、かなり過去の人の部類に入っていたけれど、コンスタントにアルバムをリリースし続けていたのだ!

 ライブの2日前、長年の盟友 ドクター・ジョンが亡くなったこともあり、2曲めは彼に捧ぐ "Brickyard Blues"。この曲の作者、故アラン・トゥーサンのライブも、ここビルボードライブ東京で観たなぁ。あれは2013年のこと。思わず、遠い目。そういえば、ポインター・シスターズの伝説のデビュー作、1曲めの "Yes We Can Can" も、彼の作品。本当にすごい人だった。

 ステージにいるメンバー達は、日本で言ういわゆるシニア層。ベテランの味っていうか、ゆったりしてて、大河ミシシッピ川を彷彿とさせるような、レイドバック感がステキ。脂が抜け、オトナになりきれている。

f:id:megmikke:20190630015936j:image ブレず、流されず、ルーツ・ミュージックを追求してきたマリア・マルダー。けっこうディープなブルースも歌う。

 「クレイジーラクダの歌なのに、未だになぜか、みんな好きなのよね、この歌。ま、いいけど」と、ボヤキ?!つつ、あの大ヒット曲は、ライブ後半、歌ってくれた。

 こんな紹介の仕方がおかしくて、思わずクスッ。リアルタイムで聞いていた、子供だったあたしは、こんな未来があるなんて、想像できなかった。たぶん、これからも想像できない未来がたくさんあるのかもしれない。

 長い時間が流れ、ソプラノの声は多少低く、ハスキーになったけど、2019年に生でこの曲が聴けるなんて、感涙。

Maria Muldaur - Midnight At The Oasis - YouTube

ラスト曲は "Don't You Feel My Leg" 。歌い終わり、ステージを降りる彼女。「クイーン・オブ・ルイジアナ!マリア・マルダーに拍手を!」と、声がかかる。ルイジアナ、小学生の頃から憧れてたのに、もっと遠くには行ったのに、結局、行ってない。

  ルイジアナで、ルーツ・ミュージックを歌い続けている彼女は、果てしなくカッコいい。

f:id:megmikke:20190630014324j:image 

(敬称略)

2019/06/08 @ビルボードライブ東京