主役のアントニオは甘いマスクのいい男で、ミュージカル俳優。恋人のパオロも役者ではあるけれど、(かなり)ぽっちゃり系。えっ?なぜ、彼? ってのが第一印象。
同性婚もイタリアに行くと、とっても明るくコミカル、大騒ぎ。アントニオの元カノはストーカー状態になるし、カリスマ・ウェディング・プランナーは登場するし、アントニオの父親は頑固一徹で息子の同性婚なんて受け入れたくない。ただ、アントニオの母だけは、どーんと構えていて、懐が深い。
ま、元カノがストーカーになったり、急に実物の有名人が登場したりするのはラテン系のドラマや映画でよくあるパターンだけど、そんなお約束感も個人的には大好き。
物語の舞台は「チヴィタ・ディ・パニョレージョ」。映画『天空の城ラピュタ』のモデルになったと言われる分離集落。長い橋を渡る以外に交通手段がない、絶景の陸の孤島は、中世にタイムスリップしたかのような石畳の街並。もう旅心をくすぐりまくり。
雨風の浸食、大地震による崩落で、町の3分の1が消滅、「死にゆく町」と呼ばれているんだそう。コロナで海外旅行も行けない昨今、この映画を観て、行った気分になるのもありかも。
【このあとネタバレ】
すったもんだした挙句、アントニオのパオロもミュージカル俳優ということもあり、ラストシーンは、出演者全員でミュージカル風に踊ってハッピーエンド。
同性婚をラブコメ仕立てにするなんて、イタリアならではのユーモアが溢れてると思う。昔はあり得なかったテーマではあるけれど、中世の街並みを満喫できて、大笑いして、最後は踊ってハッピーなんて、最高じゃない? 映画はこうじゃなくっちゃ!
【追記】2021/05/29〜06/04 下高井戸シネマでこの作品が上映予定です。お時間があれば、ぜひ!