【COCOON MOVIE!!】下谷万年町物語 炸裂する唐十郎ワールド 大人の舞台女優宮沢りえのド迫力

 

f:id:megmikke:20201007200948j:image
f:id:megmikke:20201007200944j:image  オフィシャルサイトには、写真もふんだんに載ってます。下谷万年町物語 | COCOON Movie!! 芸術監督名作選 | Bunkamura

f:id:megmikke:20201007200941j:image 上映が終わった後、前を歩いていた若い男のコがぼやいた。「10%もわかんなかったよ」。

 役者さんたち、よくセリフが覚えられるって感心。実際、あたしもよくわからなかったし、けっこう寝た。難解で、長い。上映時間、にゃんと!183分(休憩10分含む)

 そういえば昔、高校生のころ、唐十郎作品を見た時も、全然わからなかったことを思い出した。町屋で観た劇団「第七病棟」。いろいろ検索してたら出てきた。お芝居のタイトルは「ふたりの女」。町屋には劇団のアトリエがあった(ある) んだそう。こちらのブログに詳しく書かれています。

唐十郎「秘密の花園」 | ブログ

 これからはこういう芸術性が高過ぎてわけがわからないお芝居を作る人は、だんだん少なくなっていくかもしれない。でもわけがわからなくても、観たらカラダの中に何かが必ず残る。何十年も、残り続けていく。

 話は戻って「下谷万年町物語」。コロナでいいコトもあった。そのひとつがこの企画。 見逃した舞台を映像で、大きなスクリーンで観ることができた。

 舞台って、いい席が取れないと、楽しくない。後ろの席じゃ、出演者の表情もよく見えない。今回は映像だから本人は舞台にいないけど、主演の宮沢りえの汗のひとしずくまで、手に取るように見える。スポットライトが当たっていないときの自然な表情が一瞬映ったりするのも、新鮮だったなぁ。

 三井のリハウスサンタフェ貴乃花との騒動を知っている世代としては「まぁ、こんなに立派になって!」と、宮沢りえちゃんを称えたい気分だけど、実際には「ちゃん付け」になんて恐れ多いほどの大人の色香、様々な風雨風雪を乗り越えてきた芯の強さが、とんでもない迫力を生み出している。

 ところで、わけがわからない映画やお芝居を観ると、必ず思い出すのが 故鈴木清順監督の名セリフ。

「筋なんてものは、どうでもいいんだよ」。

 そう、筋書きよりも、どう観せるかが肝心なのだ。わけがわからない経験が積もっていって、思い出をつくる。何年か経って、何十年か経って、思い出す。そういう積み重ねがたまらなく好き。このお芝居を観て、気づいたコトのひとつ。

追記:初演は1981年 @パルコ劇場

今回の上演は2012年