【散歩】伝説の名曲喫茶「ネルケン」

 

f:id:megmikke:20200724192216j:image ぱっと見たところ、昭和ギラギラとか、そういうコトは一切なく、よ〜く見て初めて「タダモノではないかも」と気づく。実際、この道は何度も通っていたけど、伝説の名曲喫茶が、ここにあったなんて、まったく気づかず、長い年月が過ぎた。

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f:id:megmikke:20200724192208j:image クラシック音楽が流れる店内。アンプはマランツ。かつてウチにもマランツ(入門機) はあったが、数十倍高級。シルバーなんだけど、今まで見たことがないくらい重厚な色味。

 赤いビロードの椅子とカーテン。適度にデコラティブで、時空を超えて洒落ている木製のテーブル。昔、実家にあった、地震が来ても倒れなさそうな安定感充分な石油ストーブ。女性の裸体らしきレリーフ...。アイスピックで氷を割る音が聞こえる。

 上品な老婦人が一人で切り盛りしている。切り盛りと言うと「細腕繁盛記」(古い!) みたいだけど、もっとはんなり、ほんわり、ふんわり。敬語も「よろしゅうございます」。でも、芯はものすごく強そうだなぁ。

「お荷物は椅子の上に置かずに、床に置いてください」とか「申し訳ございませんが『それ』はご遠慮いただいております」などと、注意されていた人もいた。『それ』が何かはナゾ。

 そんなわけで、店内の写真は撮らなかった(^_-)。ま、写真撮っても、撮った途端に忘れちゃったりするし。彼女は名物マダムなんだそう。

 お手洗いもすごい。映画『ツィゴイネルワイゼン』みたい。木の扉にはめこまれているガラスには細かい凹凸がある。子供時代にはよく見かけたけど、今はもう手に入りにくいだろう。

 鍵もレトロ。昔ながらの横に滑らせる方式。便器は和式、でも照明はオートマチック。

 松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』や、1970年代後半に作られた東映映画には、クラシックが流れる喫茶店が登場した記憶がある。そんな雰囲気なんだよね、このお店。それにしても、自分がティーンだったころのイマジネーションって、一生離れられないんだろうなぁ。

 ちなみに『探偵物語』に登場したクラシックが流れる喫茶店の名前は「プレイバッハ」だった気がして検索してみたら、出てきた。流れていたのはジャズだって書いてあったけど。

 閑話休題。2020年の「ネルケン」。天井の近くに置いてあるスピーカーから流れるクラシック音楽、バイオリンの音色に包まれると天から天使が降りてくる宗教画の世界に入りこんだみたいだ。

f:id:megmikke:20200724192203j:image 本名は名曲喫茶じゃなくて「名曲 ネルケン」でした。あまり大声で喋る雰囲気ではないので、時節柄、ちょうどいいかも。Go To キャンペーンで遠出しなくても、お手軽に異空間にトリップ!