「いつしかヒット曲も途絶え、そうこうしているうちにトーク番組の話が来た。『ミエと良子のおしゃべり泥棒』。ババアになってきたら、年寄り劇のプロデュースをやって...」
ちょっとダルそうに話す中尾ミエは、例えようもなくカッコいい。大好きなんだよね、こういう生き方。生き抜く意欲をジョークのベールにさらっと包んでいる感じ。
そのミュージカル「ザ・デイサービス・ショウ」の出演者たちが、続々登場。まずは、モト冬樹。往年の「渡辺プロ」メドレーをデュエット。
彼女は30年間ナベプロにいて、独立して30年。最近、またナベプロに戻ったそう。ちなみに現在の社名は、株式会社ワタナベエンターテインメント。
当時はナベプロの黄金時代だったが、所属していたタレントたち、ドリフ、クレイジーキャッツ、梓みちよなど、次々と鬼籍に入ってしまった。
ちょっと湿っぽくなったところで、尾藤イサオ、正司花江、光枝明彦らが舞台に上がった。花江師匠はパワー炸裂だし、光枝明彦は飄々とし過ぎかもしれないし、そして尾藤イサオはロカビリーで、大爆発した。
「弟のようにかわいがってもらった...(間) エルビス・プレスリーの...」(爆笑) と前置きして、プレスリーのカバー曲を歌った。もう身に染み込みまくってて、若い時に身につけたものって、いくつになっても再現できるんだなぁ。
そういえば彼、「1986」と大きく書かれたコシノミチコのスウェットシャツを着てた。もう懐かしくて、懐かしくて。
話は主役に戻って。心底聞けてよかったのが『片想い』。昔々、ヤマハが合歓の郷で開催していた音楽祭で聞いて大好きになり、奪い取った(笑) とご本人は言っていた。
ま、実際は、埋もれてしまうのは惜しいほどいい曲なので、同じ事務所だった中尾ミエがカバーしたということらしい。
毒舌に包んだ人間味があるんだよね。ご本人は「生き残る秘訣」って言うかもしれないけど。
「残された時間を楽しもう!」というメッセージが、ヒシヒシと伝わってきた。
泣いても笑っても、満足しててもしてなくても、しあわせでもそうでなくても。わかっちゃいるけど、案外、楽しく生きるのはむずかしいのかも。
ゲストが盛り上がると...。
「誰のショーだかわからない」
高齢のゲストたちにボヤくと...。
「ほっといたら、ずっと喋ってる」
好かれる毒舌、なんて魅力的なんだろう!
ちなみに「ミエと良子のおしゃべり泥棒」は、YouTubeにアップされていた。武田鉄矢と吉田拓郎がゲストで、タバコを吸いながらトークしたりして、隔世の感。ドラマの「不適切にもほどがある」を地でいってる。世代的には、こういうのを見ると、なんか落ち着くんだよね。
ミエと良子のおしゃべり泥棒 吉田拓郎/武田鉄矢 - YouTube
(敬称略)
2024/02/9 @有楽町 I'M A SHOW