お芝居が始まってしばらく時間が経ち、ドキドキ待っていると、真っ白なスーツに身を包んだ彼女が通路から登場。
神々しい。
ミューズ。
カリスマとか、オーラって言葉じゃ、軽過ぎる。
後光が差してたんだから、本当に。彼女が存在する一帯が、白い光に包まれる。
時はゆくゆく、
乙女はババアに
それでも
時がゆくならば…
時を越え、
蘇る永遠の乙女
(フライヤーより)
揉みあうシーンでは、ポロリッ!李麗仙の胸が、はだけた。息を呑んだ。
ほんの一瞬、暗い舞台で白く浮き上がる乳房。そして乳輪。
偶発ではなく、意図的につくられたシーンだとか。さすが、アングラの女王!
あぁ、「アングラ」。なんて甘美な響き!
唐十郎が書いた、この芝居の初演は46年前(1969年)だそう。
スズナリ。
壁に描かれたドクロのモナリザ。
まるで昔のセットのような1階のスナック街。
身動きが取れないほど狭い座席、補助椅子で通路まで埋まる。
満員御礼。
ひさびさ、そんなアングラな空間にいたら、高校生の頃、第七病棟の舞台を観に町屋に行ったことを思い出した。
第七病棟の舞台は本当に町屋だったのか。
満州へ渡った開拓民の夢。
彼女のはだけた胸。
緑色の鉄骨が剥きだしになった下北沢駅。
みんなみんな幻なのかも。
たったひとつ確実に幻じゃないのは、昨晩の李麗仙の強烈な存在感。
今日(10/7)が、千秋楽です。
(敬称略)