少女仮面@下北沢スズナリ 主演:李麗仙。


新宿梁山泊 第56回公演

お芝居が始まってしばらく時間が経ち、ドキドキ待っていると、真っ白なスーツに身を包んだ彼女が通路から登場。

神々しい。

ミューズ。

カリスマとか、オーラって言葉じゃ、軽過ぎる。

後光が差してたんだから、本当に。彼女が存在する一帯が、白い光に包まれる。

「肉体」という名の地下喫茶に棲む奇妙な人々、夢を追いかける少女と祖母、李麗仙が演じるのは、実在のタカラジェンヌ春日野八千代」。そして物語は極寒の地「満州」へ、甘粕大尉まで登場し...。

時はゆくゆく、
乙女はババアに 
それでも
時がゆくならば…
時を越え、
蘇る永遠の乙女
(フライヤーより)

揉みあうシーンでは、ポロリッ!李麗仙の胸が、はだけた。息を呑んだ。

ほんの一瞬、暗い舞台で白く浮き上がる乳房。そして乳輪。

偶発ではなく、意図的につくられたシーンだとか。さすが、アングラの女王!

あぁ、「アングラ」。なんて甘美な響き!

唐十郎が書いた、この芝居の初演は46年前(1969年)だそう。

新宿梁山泊のホームページには、"「アングラ演劇」を現代日本を代表する「文化」として継承し"という一文がある。

スズナリ。
壁に描かれたドクロのモナリザ
まるで昔のセットのような1階のスナック街。
身動きが取れないほど狭い座席、補助椅子で通路まで埋まる。

満員御礼。

ひさびさ、そんなアングラな空間にいたら、高校生の頃、第七病棟の舞台を観に町屋に行ったことを思い出した。

スズナリに向かう小田急線。最後尾に乗って下北沢のホームに降りたとき、かつての下北沢、地上の駅にいるような錯覚に陥った。あの頃の風景がくっきり蘇る。

第七病棟の舞台は本当に町屋だったのか。

満州へ渡った開拓民の夢。

彼女のはだけた胸。

緑色の鉄骨が剥きだしになった下北沢駅

みんなみんな幻なのかも。

たったひとつ確実に幻じゃないのは、昨晩の李麗仙の強烈な存在感。

今日(10/7)が、千秋楽です。

(敬称略)