戦前、横浜の鶴見には「鶴見花月園」という東洋一を謳った遊園地があった。「西の宝塚、東の花月園」とも称され、「花月園少女歌劇団」が結成されたという。文化人にも愛され、谷崎潤一郎の「痴人の愛」には花月園とされるダンスホールが登場する。また、横浜出身の美空ひばりがデビュー前、歌を習いに来ていたとの逸話も残っているそうだ。戦後、閉園になった後は、花月園競輪場となったが、2010年にこちらも閉場となった。
という新聞記事を目にして、ロマンをかきたてられた。結構長く生きてきたけれど「花月園遊園地」なんて、聞いたこともなかった。最盛期は大正時代後半だったというから、いわゆるモボ・モガがたくさんいたんだろうとか、いろいろ想像した。
ちょうどそんな頃、京浜急行の「花月園前駅」という駅名がなくなる...いう話を聞いた。「花月園前駅」は「花月総持寺駅」になるという。
というわけで、行ってみた。
花月園前駅のお手洗い。ピンクのタイルがレトロ。昔、泊まった香港の重慶大厦を思い出した。
駅の北側に、こんもり高い「お山」があったが、工事中。立ち入りはできない。将来的にはマンションと公園になるらしい。もはや、昔の面影はカケラも残っていなかった。
京浜東北線、東海道線、京浜急行など、たくさんの電車が走る線路をまたぐ長〜い踏切。旅情。
これで帰るのもつまらないので、踏切を渡り、ちょっと歩くと現れたのが、JR国道駅。
そこはまるで映画のセットのような昭和ワールド。しばし、タイムスリップ。
帰りは国道駅からJRの電車に乗った。ホームに立つと、現在に戻ってきた感に満たされて、ほっとした。
ネットで検索すると、国道駅は第二次世界大戦前に造られ、戦時中、米軍の機銃掃射を受けた。その弾痕が今でも残っているらしい。
ん? 国道駅、10年ちょっと前に、来たことがあったような、なかったような...(^_-)
参考:日本経済新聞 「花月園(横浜市鶴見区) 東洋一の遊園地、夢の跡」
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO39673580V00C19A1CC0000?s=1