観たのは短編映画2本。
「スラム」34分(1962年)
かつて日本にもスラムがあったという事実を記録したドキュメンタリー映画。旅行先でスラムを目にしたことはあっても、日本のリアルなスラムを目で見たこと自体が衝撃的。南国のトロピカルな街並みとは全然違う。舞台となっていたのは、朽ち果て、崩れ落ちる寸前、時に重厚だったと思われる古い日本家屋。
60年前が大昔なのか、意外に最近なのかは、意見が分かれるかもしれない。個人情報保護とか存在しない時代なので、人々の顔がそのまま映し出される。日本に住んでいる人々の顔は、とっても変わった気がする。映像を保存することの重要性を、しみじみ感じた。
「新しい街」27分(1964年)
同時期、中野に画期的な建物が建設された。その名も中野ブロードウェイ(正式名称:コープ・ブロードウェイ センター)。
現在は「サブカルの聖地」として世界的に?!名を馳せているが、当初は「家に閉じ込められている主婦を家事から解放し、新しい時代を生きる」というようなコンセプトのもとに、商業施設と最新設備完備の住宅を一体化させた建築物だった。低層階は商業施設、5〜10階は約250戸の住宅、屋上には公園とプール。プールがステータスだったんだよね、この頃。
この建物を建てた不動産業者「東京コープ」は、あの!「コープ・オリンピア」も手がけていたことを、初めて知った。終戦後、混乱期を経て、日本が急成長を遂げようとする時代の息吹が、画面からほとばしっている気がした。
東京コープという会社に関しても、いろいろ調べたら興味深いエピソードがたくさんありそう。
2本の映像を見比べて 同じ時代とは思えないほど、強烈な格差。そして日本は大成長を遂げ「1億総中流」と言われたが、また格差社会に戻った。「新しい街」は不動産屋さんの広告映像なんだけど、時間が経てば戦後史になるという事例かもしれない。あたし達の時代、学校の勉強では戦後史はいつも時間切れ。大切なコトを学校では学べなかったからなぁ。
そして、にゃんと!この2本はYouTubeで観られます。(2022/01/11 現在)
新しい街 コープブロードウェイセンター 英映画社製作 - YouTube
この2本を制作した英映画社にも興味がある。たくさんのニュース映画を作った会社らしい。
ポレポレ東中野 外観
どちらかと言うと地味めなドキュメンタリー映画を上映する映画館は、大切だと思う。温故知新のヒント、ありがとうございました!
《昭和30年代の暮らし映画特集》短編プログラムC/英映画社”住宅問題” Eigaland
2021/12月 @ポレポレ東中野