偶然、ネットで「中銀カプセルタワー見学ツアー」があることを知った。キャンセルが出たらしく明日が空いている。これは神様の思し召し?! ということで、予約した。黒川紀章という天才が半世紀前に掲げた理想の住居の中に入れる!
1階のエントランスを入ると、正面にコンシェルジュのおじいさんが座っていた。郵便受等に個人情報が書いてあるので、ここは撮影禁止。どこかカビくさいような匂い。感無量というコトバが当てはまるのかわからないけど、半世紀前に最先端だった建物が、すっかり過去になっている景色を目の当たりにして、ちょっと複雑な心境。
エレベーターで12階に上り、説明を聞く。外から見てもよくわからないが、実はこのカプセルタワーはA棟B棟に分かれていて、部屋数は全140室。カプセルは一度も交換したことがなく、実際には順番にカプセルを外さないと、外れない構造になっているんだそう。
想像以上に老朽化している印象。
A棟とB棟を連結する渡り廊下から撮った汐留の高層ビル群。
貝のような?!突起物は、目隠し。どことなく、サイケ。
現在も実際に住んでいる人がいて、女性が多いとのこと。隣りの城山ビルは取り壊しが始まり、ビル全体の保存はむずかしいかもしれないと、ガイドの方は言っていた。
もともとはピンク色だったが、ちょっとどうかな?という話になり、無難な色に塗り替えたが、剥げてきて、もとのピンク色が顔を出しているんだそう。諸事情あって、35年間大規模修繕工事をしていないそう。
こちらも同様で、もともとはオレンジ色。
いよいよ部屋へ!
当時、最先端SONY製のオーディオと収納式デスク。オプションで選ぶことができ、この部屋のオーディオは最上級のタイプだったそう。カプセルの広さは10平米、バスルームや家具等を除いた面積は、にゃんと!6平米くらい。その広さ(狭さ)なのに、このオーディオは豪華過ぎない?!と思ったけど、当時の日本は高度成長期、みんなモーレツに働いていた。この部屋はホテルであり、オフィスであり、マンシオン(マンション)であって、自宅は別途郊外に持つというコンセプトだそう。建築家本人が音楽好きだったのかもしれないけど、くつろぐための部屋には最先端のオーディオが必要だったのかな?と思ったりした。
わぉ!オープンリール!
懐かしいブラウン管テレビ📺 まわすチャンネル。
電話線は繋がっているので、契約すれば使えるんだそう。
この部屋の窓からは首都高と、汐留の高層ビルが見えた。
保存されているシェード。きめ細かいなぁ。美しいけど手間がかかるこんなデザインは、最近、あんまり見かけないような気がする。
バスルーム入口。どこか宇宙船的。
陶器は灰皿!時代だ...。
コンパクトかつ未来的なデザイン。
部屋の置いてあったカプセルタワーの模型。
ビル入口近辺。
芽が出ているのが、いじらしくて、思わずうるうる💦
中銀・城山ビル。解体が始まっていた。
#save Nakagin の文字。
住所は銀座8丁目なんだけど新橋寄り、当日の天気が雨だったせいか、どこか寂れた感が漂っていた印象。半世紀前、若き天才建築家が意気揚々と語り、創り上げた建物の未来がこんな状態で存在しているなんて...。
それにしたって、こんなに貴重な建築物を、みすみす、ただ壊してしまっていいんだろうか? 一つの時代をつくった文化的な建築物こそ!国は税金を投入して保存して欲しい!と、心の底から思った。ごくささやかだけど、クラファンに参加しました(すでに締め切ったそうです)。
売り出し当時のパンフのレプリカを購入(1000円税込)。本当に買ってよかった。このマンシオンがつくられた背景とか、時代感とか、サービス内容とか、細かく書かれています。想像を遥かに超えて、メタボリズム建築は深かった。もっといろんなことを知りたい。できれば泊まってみたい。
カプセルタワー見学は、下記のリンクから。参加費3000円(税込)。さっき見たら、11月末まで満員だったけど、キャンセルが出ることもあるようです。中銀カプセルタワービル見学ツアー
中銀カプセルタワーの内部がよくわかる動画。英語/日本語の解説つき。わかりやすくまとめられています(約17分) Inside Japan’s CAPSULE Tower | 140 TINY Tokyo Apartments - YouTube
(敬称略)