ディープなディープな銭湯が三軒茶屋にあるという。何度も書くけど、相当ディープ。強烈なタイムスリップ感があるそうだ。
ウワサの銭湯 千代の湯は、いわゆる「三角地帯」と呼ばれる、卒倒しそうにレトロな飲み屋街にある。ラビリンスに迷い込み、ついでにタイムマシンで昭和30年代まで遡っちゃったようなトリップ感。Google Mapがあろうと、住所がわかっていようと、全然関係なく、ひさびさ迷う。
ふと見上げると、煙突が!
蔦で覆われた壁、手入れ感のない樹木、沖縄風の建物、最近めっきり見る機会が減ったタイプの雨戸、そしてトタン。ますますそそられた。(防犯カメラはしっかり設置済み)
入ってみると「本日 休業させて頂きます」の張り紙。ええーっ!!! コロナで休んでいるのか、いつから休んでいるのか?! 検索したら、なんのことはない、金曜日は定休日でした(°▽°)
以来、もうアタマの中は、千代の湯のことばかり。早々に、再訪問。よくよく見ると「カメラ撮影禁ズ」の張り紙も。というわけで、今回は写真撮影なし。
恐る恐る扉を開けたが、番台がない。靴を靴箱に入れ、さらに奥の扉を開ける。「番台はどこ?」とキョロキョロしていると、天から声が聞こえてきた。その場所以外にありようがない、という定位置に番台はあったんだけど、あまりに非日常過ぎて、気が動転してたんだと思う。見上げると、おばあさんがいた。
本当にこういう書き方をするのは失礼で、申し訳ないんだけど、あの世とこの世の接点に立っているような気がして。
「お、お、おいくらですか?」
やっとの思いで訊き、470円を払い、脱衣場へ。年季が入った椅子に座ってくつろいでいるおばあさんが、あたしをじーっと見つめている。
ロッカーの鍵がまたクラクラするほどレトロ。「おしどり」と書かれていて、マークも含め、デザインが美しい。
ところどころ剥がれている富士山の絵、熱過ぎるお湯(動くのが不思議なほど古めかしい温度計では46度)、「節水 あつ好きの方のために、うめたら水を止めてください」と書かれた張り紙...。うめるなんて、できない。
一番印象に残ったのは、ラジウム温泉の説明書きに、こんな表記があったこと。
「帝大採鉱治金教授、石和田章三博士発見指導」。
帝大?! 戦前の東大?! 最近は何でも写真を撮って記録してるから、これだけの文字数の漢字を覚えるのは、ある意味、脳トレ(^_-)。でも、下界に出て検索したら、あっさりたくさん出てきた。この先生、銭湯好きの間では、知られた存在らしい。
ちなみに、無料で入れるというサウナはコロナでお休み中。お手洗いも相当なレトロだと思うけど、お風呂に入ってから存在に気づいたので、今回は未チェック。
帰りは246沿いの出入口から出たら、2020年なのに、この風景。最近、自由な移動が制限されてるけど、旅情は近くにあると、実感するの巻。今年の夏は、渋めに銭湯かな。