ある晩、顔見知りの近所のおじさんに声をかけられた。
「この樹、枯れてきたみたいなんだよね」
「えっ?!」
近くにいたおばさんも加わった。
「ほら、こんなに枯葉が落ちちゃって。この季節にあり得ないでしょ?」
気づかなかったが、 下を見ると枯葉がたくさん落ちている。そこだけ、晩秋。
「ずーっと前から道路工事が続いているから、弱ったんじゃないかしら?」
しかし、すぐそばのイチョウは生き生きしている。
「ま、1〜2週間、様子を見ましょうか。持ち直すかもしれない」と、おじさんが言うので、その場は解散となった。
マンションの前に立つこの樹は、シンボルツリーと呼ばれている。よくある話だけど、場所が空いていたので軽い気持ちで植えたら、あれよあれよと言う間に大きくなった。あまりに大きくなり過ぎたので、丸坊主に近い状態まで刈りこまれたこともあったが、すぐに繁った。なのに...。
心配しながら見守っていたが、ある日、ふと見ると、新緑が芽生えていた! そして、季節ハズレの新緑は、どんどん増えていき、下の写真のように、もう樹木全体に広がった。枯れた理由は木が喋らないからわからないけれど、何はともあれ再生のよろこび(^^)v