「武道館おめでとうございます、って言っていただくたび、いつもと同じ気持ちで、いつもと同じようにやるだけと言ってきましたが (間) 正直、不覚にもすごい感慨深いです。僕を日本武道館まで連れてきてくださってありがとう。武道館がこんなにデカイとは思ってませんでした」。
Peaceと書かれたTシャツ、短パン、アディダスのスニーカー。アコギ1本、たった一人で、武道館のステージに立つ。
2曲めが「LIVE IN 和歌山」。
「オレ、精神病なんですよ」という歌い出しから始まり、「薬づけでも生きろ、薬づけでも生きろ」とシャウトするサビへ。この曲を初めて聞いたとき、背筋にすーっと寒気が走り、涙が溢れた。説明できない涙。竹原ピストルをちゃんと聴くキッカケになった曲。
竹原ピストル話題の『LIVE IN 和歌山』 - YouTube
コマーシャルに「よー、そこの若いの」が使われ、「Forever Young」がドラマの主題歌にもなり、晴れて2017年の紅白に出場。でも、本当に下積みは長かったという。
「歌うたい」になって20年近く経つけれど、今日、初めて両親をライブに招待したとMCで言っていた。
「よー、そこの若いの」では、一緒に歌ってくださいと彼が求め、観客は全力で応える。嵐のような合唱と拍手。「まさか、初めての武道館で、弾き語りの限界を知らされるとは思わなかった」と、冷や汗をかきながら?言っていた。そのくらい、観客の一体感に迫力があった。
「お客さんが数人位しかいない竹原ピストルのライブをオレ、観たんだぜ」と言われるようになってやろうとがんばった、という話もしていた。YouTubeで検索すると、ほんの数年前、小さなライブハウスで演奏する彼の動画が出てくる。かつて在籍していたグループ「野狐禅」のデビューシングルで放送禁止になった曲も、YouTubeで聴ける。
彼は歌も語りも、とっても誠実でストレート。最近はややこしい世の中だから、誠実さで心が洗われるのかもね。
印象に残ったのは、野狐禅時代の「カモメ」。遠藤ミチロウのカバー「カノン」。吉田拓郎の「落葉」は、彼に歌われるために存在していたかのよう。他のカバー曲としては、中島みゆきの「ファイト」も。
隣に座っていた老婦人は、あらかじめタオルを膝の上に置き、泣く準備を整えた上で、ライブに臨んでいた。準備不足のあたしは、フライヤーと一緒に配布されたティッシュを取り出し、声を抑えて泣いた。泣いても、泣いても、泣いても、涙と鼻水が止まらない。
彼の歌を聴き、歌詞を聴き、みんなそれぞれ様々な過去や現在を連想し、心の中で泣いたり、実際に涙を流したりする。
2時間40分強のライブ。ちなみに1曲めは「オールドルーキー」。
武道館で観る前に、小さなライブハウスで彼のライブを体験したかったという思いはあるなぁ。今度は、小さなハコで彼の歌を聴きたいと思う。例えば、北関東あたりで。
2018/12/22 日本武道館