【映画】洲崎パラダイス赤信号(1956)@ラピュタ阿佐ヶ谷

 AmazonでDVDは買えるんだけど、やっぱり映画館の暗闇で観たくて、機会を探していた作品が、ついに!!!

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 ラピュタ阿佐ヶ谷阿佐ヶ谷駅北口から、徒歩数分。住宅街と飲食店街の境界あたりにある。ウチからけっこう近いのに、行くのは今回初めて。

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 小津、黒沢、溝口といった巨匠の作品をはじめ、名作からマニアックな作品まで、多種多様な切口で特集を組む。それも昔の日本映画に特化して。

 並木座が閉館、「文化都市」東京に名匠達の作品を上映している場所がない!という現実に直面、映画館をつくったという館主の方のコメントは、こちら。静かにほとばしる情熱と決意が滲み出ていて、感動。全文はこちらで。Laputa : INFORMATION

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 さて、映画の話。今回は「伝説の美女、魅惑の独演 昭和の銀幕に輝くヒロイン 第86弾 轟夕起子」という特集で、この作品を観ることができた。今年は轟夕起子さんの生誕100周年なんだそう。

 ストーリーは、こんな感じ。親に結婚を反対されたカップル(新珠三千代三橋達也)は、地方から上京し、ふらふらと東京を彷徨う。女はかつて廓にいたこともあって、洲崎遊廓へ。洲崎パラダイス入口にある一杯のみ屋の女将(轟夕起子)の店で働くことになる。

 女将のつてで男は近くのソバ屋で仕事が決まったが、やる気も覇気もないまるでダメ男。挙げ句の果てに店の売り上げに手を出してしまう。そんなとき、女の前に魅力的なラジオ成金が現れ....。

 印象に残ったのは、女将さんの人情。面倒見がよくて、ほとんど面識もない人を同居させたり、仕事を紹介したり。で、相手も気軽に採用しちゃうんだわ。

 子育てもおおらか。女将さんの子供2人は一緒に寝起きしてるけど、あと3人子供がいて、どこの誰の子なんだかよくわからない。今でも途上国だとそういう話がよくあるけど、経済的に豊かになった分、この60年ちょっとでおおらかさや人情など、失ったものは大きいんだろうなぁ。

 ただ女将さん、老けてる。撮影時点で30代後半のはずだけど、今だと50代に見えるなぁ。ま、昔は50代っていえばすっかりお婆さんだったし。

 そうそう、こんなシーンもあった。

 主人公カップルのヘタレ男が女に見放され、女が今付き合っている羽振りいい男を探すため、神田(今の秋葉原)をヘロヘロになって歩き回るシーン。全身汚れた状態で路上に倒れこむと、すぐに誰かが駆け寄ってきて、大丈夫ですか?と声をかける。
「オレのおにぎり食いなよ。半分しかないけどさ。遠慮しないで」。
 海苔も巻いていないおにぎりに男は食らいつき、貪るように食べる。モノクロの画面に、キラキラ光る真っ白なおにぎり!

 「この辺も戦前とはまったく変わっちまったね」なんてセリフがあったけど、かつて「洲崎」と呼ばれた現在の東陽町近辺は、もはや当時の面影は、ごくわずか残っているだけ。

 そういえば、細野晴臣のニューアルバムに『洲崎パラダイス』という曲が入ってることを発見!まさか、密かで静かでマイナーな「洲崎」ブーム到来?!

 関連リンク 去年(2016年)、洲崎エリアを訪れたブログは、こちら。

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