映画「タンナ」史上初!全篇バヌアツ・ロケ敢行

 舞台は南太平洋 バヌアツ共和国のタンナ島。実話をもとにした作品。ヤケル族は文明を取り入れず、原始そのまま、しきたりを守って暮らしている。この村では、昔々から、親や長老が決めた人と結婚することが当然とされてきた。

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 しかしワワとダインは、恋に落ちた。密かに逢瀬を重ねる二人。が、敵対する部族との和解のため、ワワを相手に渡す約束が成立してしまう。村の人々の説得には耳を貸さず、ワワとダインは村を出て、森で暮らそうとするが...。

(この先、ネタバレあり)

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 駆け落ちしたことを伝えると、森で暮らす別の部族からは受け入れてもらえず、文明化された部族の生活には馴染めず、敵対する部族からは命を狙われ、森をさまよう。そして二人が選んだのは、愛を貫くための心中だった。

 この「事件」が起こってから、村では自由恋愛が許可されるようになったという。

 バヌアツ版「ロミオとジュリエット」的な展開なので、古典にありがちな「なぜ、相手に差し出す娘が彼女じゃなきゃいけないのか?」「見張っておけば、心中しなくて済んだんじゃないか?」等々、ツッコミどころ満載。

  ま、それはともかく、キャストのほとんどは現地の住民なんだそう。ドキュメンタリーではなく、原始そのままの生活を背景にストーリー仕立てで描く手法は、既視感がない。

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 彼らにとっては自分たちが育った「森」と「生活」がいいんだなぁ、としみじみ。海岸近く住む「服を着た部族」とは合わなかった。

 この映画を観ていた2時間弱の間、あたしはすっかり原始の森に入りこみ、もう出られないような気にさえなった。そのくらいリアル。シネマ・カリテから出て、新宿東口を歩くとホッとした。そして馴染みのカレー屋へ。やっぱり育った生活が心地いい。

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 Wikipediaによると、ダイン役が選ばれた理由は、村で最もいい男だと言われていたから。またこの作品は第89回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、第72回ヴェネツィア国際映画祭(英語版)では観客賞と撮影賞を受賞した。

 ちなみに彼らが話していた言葉は、NauvhalとNefe語だそう。これがまたエキゾチック!

タンナ島は、ニューカレドニアのすぐ近くにある。行ってみたくなってきた。

写真:(C) 2015 Contact Films