「実際に原発を見ると、冷たくて、無機質、自然界に存在してはいけないものだと感じた」という話を聞き、一度は実際に見てみなければ!と思っていた。そして、そのときが来た。
早い話が、軍事施設。入口では構内に入るためのIDチェックが行われていた。南米のどこかで見たな、こんな光景。そりゃそうだ、規制しなかったら、過激な原発反対派からテロリストまで、誰でも入れてしまう。
2階からは原発を見渡せるが、もちろん撮影は禁止。警備員さん常駐。
想像していた原発のイメージは(なぜか)テラテラ光る、金属製の円柱の建物だった。しかし実際には巨大な倉庫といった感じの四角い、肌色の建物だった。周囲の風景と調和しやすい肌色にしたのは、物々しく感じさせないための配慮か。
原発周辺には、たくさんの鉄塔があり、鉄塔に挟まれて大鳥居が、スクっと立っている。自然の中で人間が営んできた歴史、ひとつの象徴である鳥居を鉄塔が囲んでいる風景は、忘れられない。
そして、とても海に近い。海のすぐそばに立っている。
なぜ、原子力が必要なのか?
思わず、なるほど〜!と頷いてしまう。
館内では、若いお母さんが子供を遊ばせていたり、お年寄りの姿も目につく。映画上映もあった。時間がなくて映画は見れなかったけど、プラネタリウムのような劇場の中を、とても感じいい女性スタッフが見せてくれた。
御前崎に到着したときの情景が、ふと蘇った。片側3車線のガランとした広い道。人はもちろん、クルマもほとんど走っていない。民宿のおねえさんが、言っていた。
「ここには何もないんです」
(来週に続く)