前回はテレアポで「電話かけてくるんじゃねぇ!」と怒鳴られたお客様に飛び込み訪問したら、気骨ある社長に大歓迎?していただいた話を書きました。
さて、ある日のこと、いつものようにテレアポしてたら、根拠も示さずキッパリ断られた。
「親会社の指示で変えられない」
「N◯◯でなければ、どこの電話会社でもいい」
「古い付き合いの代理店がある。御社が提示した金額より、必ず安い金額を出してくるよ」
なんてステレオタイプな理由から、初めて電話かけてきた人にそんなコトまで喋っちゃっていいの?っていうような社内事情まで、変えない理由を聞き出せれば、よっぽどの大案件でなければ、訪問の優先順位は低くなる。行っても同じ答えが返ってくることが多いから。
実は成果より、社内事情を教えてもらうことに、エクスタシーを感じるときがある。
こう言うのもなんですけれど、聞き出す歓びがあり、愉しみがある。それはほんの少し「芋掘り」に似ている。地中に埋まっているイモを地上に引き釣り出す感覚。時に駆け引き、時に情熱、テレアポはイマジネーション。テクニックも必要。
というわけで、理由も告げずに断られると、あたしのドM度はムクムク急上昇、またもや行ってみることにした。
こういうときは少しだけ策を練る。すぐには行かず、ちょっと時間を置き、記憶が薄れたころに訪問。というわけで、行ってみました、北千住。
「こないだ電話でハッキリ断りましたよね。ウチは変えません」
こないだ電話に出た(あたしに言われたくないと思うけど)おばちゃんに、な、な、なんと!インターホン越しに断られた。わざわざ来て差し上げてるのに!(誰も頼んでないけど)。
やられた感満載でインターホンから顔を上げると、どこかの国の国防施設のような威圧感ある建物が、ちょっと離れた川の向こう側に、ぼんやり浮かんでいた。
後でわかったんだけど、それは小菅の刑務所、つまり東京拘置所でした。今でもくっきりイメージが残っている。曇りの北千住、旅先で見たような非日常な風景。
飛び込み系の営業って旅に似てると思う。行き先がギアナ高地なのか、北千住なのか、目的地は異なっても、未知の場所に行き、初めての景色を見て、ゴハンを食べ、誰かと話をして、ご縁があれば繋がるし、ご縁はないこともある。
通信営業で初受注をいただいたお客様とは今だにお付き合いがあり、つい数ヶ月前にもお会いしました。「しっかりしなさい!」と思いっきり説教されたけど、この年齢になって説教してくれる人がいるってありがたいことだと思います。
それもこれも、テレアポと飛び込みから始まったご縁。
<補足>
2014/8/17 日経新聞に掲載された「コンピューターに代わられにくい仕事ランキング(全702職種からの抜粋)」によると「電話勧誘員」は、なんと!702位。つまり最下位、絶滅危惧種(ま、テレアポにもいろいろあるけど)。
もう今は自ら探して、興味がある情報にアクセスする時代だもんね。2000年代前半は、思い出作りのラストチャンスだったのかも。
もはやおとぎ話、テレアポと飛び込み営業の旅。
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