【映画 ネタバレ 高評価 ガッカリ】『ペイン・アンド・グローリー』作品は大評判だけど アントニオ・バンデラスが爺さんになっていて大ショック!

 この作品、主演のアントニオ・バンデラスペドロ・アルモドバル監督などについて、個人的感想と思い入れ等々、書いています。ネタバレ、思い込みも満載です。まだ観ていない方は、観てから読むことをオススメします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:megmikke:20200630131329j:image 無冠の帝王的存在だったアントニオ・バンデラス。顔もカッコもいいけれど、演技力を評価された実績がなかった。が、この作品で、この期に及んで、カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞、アカデミー賞の主演男優賞にノミネート!

 Wikipediaによると、この作品での受賞は下記の通り。

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f:id:megmikke:20200702022151j:image  映画「ペイン アンド グローリー」公式サイト » STORY

 

  稲垣吾郎をはじめ有名人やコメンテーター、評論家等々、多くの人々が様々な表現を用いてこの映画を絶賛している。

 でもあたしは、すっかり爺さんになり果てたスクリーンの中のアントニオ・バンデラスを、耐えがたい気持ちで、茫然と見つめていた。

 

「筋なんてもんは、どうでもいいんだよ」とは、故 鈴木清順監督の名言。「わけのわからない映画を撮る」という理由で日活をクビになった彼は、生涯にわたって「わけのわからない映画」を撮り続け、彼一流の、彼にしか創れない「美学」を追求し続けたように思う。

 おこがましいことは百も承知で書くと、映画って美男美女が出てきて、現実では味わえない擬似体験ができて、普段見られない風景が味わえて、映画的な表現、思いがけない展開が散りばめられていれば、ほぼほぼ「それでいい」。

 昔々は美形だったアントニオ・バンデラスが老齢になり、(役柄とは言え) 痛みと更年期の鬱に苦しむ姿は、たとえ未来は続いていくと予感させる終わり方であっても、やっぱり見たくなかった。

f:id:megmikke:20200630210215j:image 映画『マンボ・キングス/わが心のマリア』(1992) より。セリア・クルースなど、そうそうたるミュージシャンが競演するサウンドトラック盤も、素晴らしい! 

https://youtu.be/mEED1C1qfb0

f:id:megmikke:20200630210227j:image 映画『デスペラード』(1995) より。ロン毛のアントニオ・バンデラスもセクシー。

 

 アルモドバル監督にも同じ思いがある。やんちゃでゲイで、まだ今ほどLGBTが一般社会から認知されていなかった1980年代、ぶっ飛んだ映画ばっかり作っていた彼も、70歳になった。

 この映画の日本版公式サイトには「初期の頃にはスペインの奇才と呼ばれたペドロ・アルモドバル」という表現が出てくる。そう、現在、彼はスペイン人で一番有名な映画監督であり「巨匠」なのだ。

 でもあたしはやっぱり彼には、永遠の「奇才」でいて欲しかったと思う。クスッと笑っちゃうようなユーモアが、もっともっとそちこちから顔を出すような、彼の新しい映画が観たい。

 フランコ政権後の文化を語る上で欠かせない彼の背景に関しては、昔々、ホームページに書いたので、もしも興味があれば読んでみてにゃ😻 アルモドバル監督で一番好きな作品は『ハイヒール』。『神経衰弱ぎりぎりの女たち』も、ハチャメチャでおもしろかったな。

https://youtu.be/nVnqwLbltfo

ビバ!アルモドバル

 ま、1980年代、あたしも若くて、初めてスペインに行き、いろんなコトを吸収した。爺さんになったアントニオ・バンデラスは、衰えた自分の姿を見せつけられているようで、堪え難かったんだろうな、きっと。

 それにしても、アルモドバル監督のミューズ、ペネロペ・クルスは、たくましく、美しく、老けてもカッコいい。そう言えば彼女、MECANO(当時、大人気だったスペインの超有名バンド) のビデオクリップに出演してたっけ。モデルやってた彼女の、多分、これがデビュー作。あらら、また走馬灯状態になっちゃった。

https://youtu.be/_mAmEKNqg1g

 

 映画を観終わってから、ネットでいろいろ検索してみると、2017年、アントニオ・バンデラスは心臓発作を起こしたという記事があった。彼は、こう語る。

「心臓手術のような体験によって、死がそばに近づいていることを感じると『自分には、何が重要で、何が重要ではないか』と明確な区別がつくようになる。誰もがいずれ死ぬという事実も明確になった。それが唯一、人間にとって確実なものなんだ」

ペドロ・アルモドバル×アントニオ・バンデラス、カンヌ男優賞に結実した40年来の友情と信頼(映画.com) - Yahoo!ニュース

 いろいろ書いてたらもう一回、この映画を観てみるかも?って思った。気づかなかった何かに、出会える気がしてきた。

 

(敬称略)