ライブが終わると、会場中が歓喜の嵐!スタンディング・オベーション!
「すごかったなぁ」。
あちこちから、ため息交じりのそんな声が聞こえてきた。すごいコトになるだろうとは思っていたけど、想像を遥かに遥かに超えてすばらしかった。
前衛的。
究極の自由。
好きなように歌いつつも、調和と共存している。
人間の生命の源が生まれた、太古の歴史を感じさせるような、原始性。
羊水に包まれているような感覚。
穏やかで柔らかいことの積み重ねが、うねりとなって押し寄せる。
時にビーチを吹き抜けていく、オフショアの風のように。
時に草原を駆け抜けていく力強い風のように。
アマゾンのジャングルを思い出すことも。
どこでも聞いたコトがない音。
彼女が奏でるのは、赤いグランドピアノ。
ピアノの鍵盤は白が7つ 黒が5つ。
太古の昔から曲は作られ続けてきたのに、彼女は、未知の音の世界をつくりだした。
京都出身、京都在住。
この日のギタリストはfrom大阪。
バンドメンバーはfrom名古屋。
この音は東京からは生まれなかったんだなぁ。
https://youtu.be/DGmQRSUuKFY 中村佳穂「きっとね!」
今回が、初めてのホール公演。実質1時間45分くらいのライブ。舞台となった草月ホールは丹下健三設計、オープンは1958年。日本の前衛芸術を牽引した「草月アートセンター」の活動拠点という歴史は、まさに彼女のホール・デビューにピッタリ。
(手作り感 満載)
ライブが終わって地下鉄に乗って、下車駅に着いてもまだ茫然としていた。
後になって、ネットの記事を読んで知った。お母さんは奄美大島出身。ステージを観ながら、吹いていない海の風や草原の風を感じたり、ジャングルにいる感覚に包まれたのは、だからなのかも。
中村佳穂という「歌」の探求者。魂の震えに従う音楽家の半生 - インタビュー : CINRA.NET
例えば矢野顕子、Char、上原ひろみ、みんな天才。そして、今日、天才の一人に中村佳穂が加わった!
会場で配られた彼女自筆のメモ(あっ、もちろんコピー)。ピアノはベーゼンドルファー。赤は世界で1台しかないんだとか。
1年くらい経ったら、また彼女のライブが観たい。どんな風に、進化しているだろう?
2019/10/23 @草月ホール