【映画 ネタバレあり】愛と銃弾〜死ぬほど好きなイタリア映画の世界観。死んでも、愛して。

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 去年の春ごろ、どこかでフライヤーを見つけて、一目惚れ。が、イタリア映画祭では見逃し、秋だったはずの一般公開が延び、やっと!観ることができた。

 舞台は南イタリアナポリ。昔々から、治安がよくないことで世界的に有名。テクノロジーが進化し、スマホ全盛な世の中になっても、バイクに乗ったコソ泥たちが観光客のバッグを奪い取るのは日常。

 水もしたたるいいオトコ、チーロはそんなナポリで、魚王と呼ばれるマフィアの親分夫婦に雇われ、殺し屋稼業をやっている。ある日、マフィアの抗争が勃発し、魚王が撃たれてしまう。幸い軽傷で済んだが、この際、いっそ死んだことにして、全財産持って海外逃亡を企てる魚王夫婦。

 マスコミが賑々しく魚王の葬式の模様を報道するなか、看護婦のファティマは深夜勤務中、見てはいけないものを見てしまう。それはお尻を撃たれてはいるものの、けっこう元気で生きている魚王の姿だった。

「あの看護婦を、今すぐ殺せ!」。魚王の命を受けて、ファティマを追うチーロ。銃口を向けたその瞬間、「チーロ!!!」と呼ばれ、過去に引き戻される。なんと!ファティマは少年時代の恋人だったのだ。彼女を救い出す決心をしたチーロは、組織を敵にまわして、危険な逃避行を企てるのだが...。

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 突然ミュージカル調になり、主人公たちが歌いだしたり、踊ったり。銃撃戦はとことんノワールだし、主人公たちのキャラはめちゃくちゃ濃いぃし、愛に対して命懸けだし、とにかく賑やか、南イタリアらしさが大炸裂。時々、挿入されるヴェスヴィオ火山、強い陽射しも、ナポリらしさを表現している。

 特に、マフィア「魚王」の奥さんのキャラが好き。夫を失った悲劇の妻を演じつつ、しっかり計算しながらも、どこか脇が甘く、興奮しやすい。どこまでもラテン的で、クスッと笑いを誘う。

 いいなぁ、イタリア映画。久しぶり。チーロ役の俳優さん(ジャンパオロ・モレッリ) が、生唾飲んじゃうくらい いいオトコということもあって、134分という長さは微塵も感じさせない。息もつかせぬ大アクション大会。

 サブスクが登場し一般的になって、だいたいどんな映画も、おウチで観られるようになるだろう。こんなコト古くさいのは自覚の上で書くと、映画は大きなスクリーンで、暗闇の中、拘束された状況で観るのが、一番幸せ。ちょっと引っかかっていることも、忘れものも、ネコのゴハンも、何も気にせず、映画と一体化して、ナポリにいる。イタリア人になっちゃうんだから!

 ハリウッド映画、邦画全盛の今、敢えてこういう映画を一般公開してくれたK's cinemaに感謝!YEBISU GARDEN CINEMAにも:)ネタバレ以降を読まないで、ぜひ!劇場へ:)

 

(この後 ネタバレ)

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 チーロは愛のためと言いながら、何十人も殺し、かつての自分のパートナーまで殺して、愛しいファティマとハワイへ高飛び。めでたしめでたしって、どうなの?と思いつつも、あまりにラテン的でぶっ飛んでるせいか、どこかゲームの勝者的な達成感があるんだわ〜。殺されたマフィアたちが蘇って、バックコーラスやったりするから、余計、そんな印象を持つのかも。

  魚王は生きていることがバレ、抜け目ない奥さんともども逮捕されちゃうのも、なんか笑える。

 どうも最近、人生にラテンが足りない。やっぱり、ラテン的に生きようっと。