西新井方面から北千住に向かうバスの窓から、昭和な風景が見えた。
古い民家に暖簾。蕎麦屋かと思ったら「コーヒー」の文字。超レトロな雰囲気。思いっきりそそられた。こりゃ、ぜひとも入ってみたい!
お店に入ると実直そうなマスターが迎えてくれた。初めてのお店では、訊いてみるのが一番。
「やっぱりモカがオススメですか?」
(間)
「いや〜、そういうわけでもないですね〜」
(間)
「何かオススメって、ありますか?」
(間)
「うーん、特にないですね」
朴訥だろうと予想していたが、まさかここまで飾り気がないとは!商魂たくましく、細かく、緻密に商売する人が増えている昨今、向田邦子のドラマのような「間」が、たまらなく懐かしい。
お店に入ったときのマスターのセリフ。
「さっきは、雨がポツポツ来てましたけど、よかったですね。強くならなくて」
お店を出るときのマスターのセリフ。
「雨が降ってきたみたいですよ。さっき、音がしてました」
昔ながらの喫茶店風情の店内は、全面喫煙可。なぜか、自信たっぷりに、マスターはあたしのテーブルに灰皿を置いた。お店の中の写真は撮らなかった けど「おばけ煙突」のモノクロ写真が飾ってあった。
「おばけ煙突」は、かつてこの辺りにあった千住火力発電所の4本の煙突のこと。見る方向によって1本に見えたり、2本に見えたり、3本に見えたり、ちゃんと4本に見えたりすることから、そんなあだ名がついたとか。「千住火力発電所」で検索すると、のけぞるほど詳しいウィキペディアの解説が出てきます。
https://tokyobojo.exblog.jp/23228986/
お手洗いは和式。靴を脱いで入る。木の扉。スライドさせて閉める鍵。タイルの床。あぁ...懐かしい...。
リアル昭和を知らな若い女のコ2人組も来ていた。インスタ映え、狙い?! ありのまま昭和なお店だから、雰囲気を味わうには絶好。
「築どのくらいですか?」とマスターに訊いてみた。
「いやぁもう..... 半世紀以上」。
そんな答えが、短く返ってきた。
北千住から歩くと25分くらいだそう。バス停「千住桜木」の目の前です。
2018/10/19