【映画】欲望の翼(1990年 香港)

 ウォン・カーウァイ監督を知ったのは、普通に「恋する惑星」だった。金城くんの初々しいオトコらしさ、跳ねるフェイ・ウォン重慶マンションでの撮影は許可を取らずに隠し撮りした?という伝説もある、手持ちカメラのうごめく映像美。この作品を観て、バックパッカーのハシクレとして、重慶マンションには泊まらなくちゃ!と思い立ち、泊まりに行った。そのくらい大好きだった。

 じゃあ、カーウァイ監督の他の作品も...と過去に遡り、ビデオで観たのが、この作品「欲望の翼」。この都度、13年ぶりも劇場公開が決まり、Bunkamura ル・シネマへ。(すでに公開は終了)

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 1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。-この1分を忘れないー

 サッカー場の売り子スー(マギー・チャン)に、ヨディ(レスリー・チャン)は、そう話しかける。ふたりは恋仲になるが、スーが結婚を望むようになり、ヨディは彼女を避けるように...。色男ヨディのもとには新しい女(カリーナ・ラウ)が現れ、一夜をともに過ごす。ヨディは養母に育てられ、裕福な養母のもとで仕事もせず、アンニュイで退廃的な日々を送っているのだった。ある日、養母から「恋人とアメリカに行く」と告げられたヨディは、実の母のことを教えてほしいと迫り、実の母がフィリピンにいるという事実を探り当てた。会いたさのあまり、フィリピンに渡ったヨディを待っていたものは...。

 マギー・チャンレスリー・チャンも、若いなぁ。肌なんて、スベスベ。レスリー・チャンって、特に美形でもないし、当時すでにオデコが上がりつつあるんだけど、そこはかとなく、とってもセクシー。血のつながりがない母との関係も、男と女の香りがして、どこか陶酔を感じたりして。大スターが一挙集結したスーパー・キャスティングも、すごい。

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 1960年を舞台にした映画なのに、全篇に渡って漂っているのは、新しいコトが起こりそうな、1990年の香港の空気だと感じたのは、1990年代の香港に対するあたしの思い入れが強いからかな。

 翻って2018年。現在の香港はGDPで深圳に抜かれ、1980~90年代の黄金時代に比べて香港映画の製作本数は激減。レスリー・チャンは自らの命を絶ち、マギー・チャンは女優休業中。

 この映画の英語タイトルは "Days Of Being Wild"。思わずうるっとしたのは、ワイルドな日々があたしの中ですでに過去になってしまったからか。

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 そうそう、この作品のモチーフは、2000年の「花様年華」で昇華されます。マギー・チャンのチャイナドレスは、鼻血もの。「花様年華」については、また次の機会に。