【映画】「私は、幸福(フェリシテ)」

 舞台はアフリカ、コンゴの首都キンシャサ。夜はバーで歌いながら、一人息子を育てるために奮闘するフェリシテが主人公。ある日、息子のサモが交通事故に遭ってしまい、重症を負う。一刻も早く手術しなければ脚を失ってしまうかもしれない事態だったが、病院は「前払いしなければ、手術はできない」と、言い放つ。金策のために、街中を走りまわるフェリシテを待ち受けていたものは...。

f:id:megmikke:20180304015816j:image  「フェリシテ」はフランス語で「幸福」の意味だという。が、彼女は無表情で、幸せとは縁遠そうに見える。前半はそのことがずーっと気になっていた。彼女は感情を表すのが不得意なのか、それとも過去に何か出来事があって、無表情になってしまったのか。

 監督は、セネガル系フランス人のアラン・ゴミス。アフリカ最高峰の映画祭FESPACOで最高賞を二度受賞、ベルリン国際映画祭コンペティションに選ばれるなど、今後を嘱望される才能豊かな映画人。

 この作品も知性が溢れているので、時に難解だったり、話が飛んでいるかのような印象を受けたりもする。その一方で、まるでドキュメンタリーのような、ローカルな友達の家に泊まらせてもらって旅をしているような、リアルなアフリカを体感できた気もする。人の顔のアップも多く、とにかく生々しい。

 キンシャサは行ったことないけれど、この作品を観ていて、ラテンアメリカの都会、ディープなエリアに迷いこんじゃった時のドキドキを思い出した。

 そしてコンゴについて調べてみたら、コンゴ共和国と、コンゴ民主共和国があることも知った。ヨーロッパの列強達が領土争いした過去も、ラテンアメリカに通じるものがある。キンシャサが首都なのは、コンゴ民主共和国のほう。

 公用語はフランス語だが、映画ではフランス語に加え、リンガラ語、ルバ語も話されているという。そういえばカリブ海の国々には(消えつつあるとはいえ) フランス語の古語、パトワって言語があったなぁ。

 知らない言葉の響きは、とことんエキゾチック。触ったことがない布に包みこまれているように、心地いいのにゃ。