映画「ネルーダ」〜ラテンビート映画祭(一番最後にネタバレあり)

 ウワサの「ネルーダ」、ラテンビート映画祭で一足お先に観てきました。お目当ては、ガエル・ガルシア・ベルナルだったけど、映画そのものも素晴らしい!

 舞台は、第二次世界大戦終結後の1948年。チリでは共産主義者が迫害されていた。共産党員で上院議員パブロ・ネルーダは、政府を堂々と非難し、警察に追われる身となる。

 ネルーダを逮捕すべく東奔西走するのが、警察官ベルショノー役のガエルくん。いや、セニョール・ベルナルと呼ぶべきか。渋い大人のオトコになっていた。

 ネルーダは意図的にベルショノーにヒントを与えながら、逃げる。捕まえられるもんなら捕まえてみろよ、とでも言っているかのように。そして、この作品はロードムービー的に展開していく。

 真っ白な雪が一面に広がるアンデス山脈、馬に乗って国境を越え、アルゼンチンへと向かうネルーダと、ベルショノーを待ち受けていたのは...。

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 ラテンビート映画祭会場の写真を撮るのをすっかり忘れたので、公式サイトからお借りしました。

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 ネルーダ役は、ルイス・ニェッコという俳優さん。コメディアンでもあり、チリではとても知名度が高いんだそう。詩人にしては世俗的な風貌、オッさん過ぎてロマンティックな気分になれなかったけど、享楽的なシーンにはピッタリ?!

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 ネルーダの妻役は、アルゼンチン出身メルセデス・モラーン。

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 警察官ベルショノー役のガエル・ガルシア・ベルナル。かつてはメキシコのテレノベラ(大長編大河メロドラマ)にも出演していたが、その後活躍の場を世界に拡大。個人的には「アモーレス・ペロス」(2000) 「天国の口、終わりの楽園」(2001)で、ノックアウトされた。神秘的な目なんだよね。

 この作品では、物語をナビゲートするナレーションも担当。スペイン語の愛の表現、芸術的な表現と言葉の数々にウットリ。雄大な自然がスクリーンに広がり、彼の声に包まれる至福のひととき。一般公開は11/11(土)より新宿シネマカリテ他で。

 

 

 

(この後、ネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラスト近く、一面の銀世界、アンデス山脈を越えようとするネルーダに迫る警察官ベルショノー。しかしネルーダの協力者に一撃され、意識が遠のいていく。棺桶に入れられ、土葬されるんだけど、ラストシーンでは、うらぶれたホテルの窓辺にいる。

 向こうではお骨にしないので、蘇る系のハナシもよくある。ふたつの未来を示しているんだろうか。

 ちなみにネルーダは、逃げ切ってパリで亡命生活を送る。ここでも享楽的。1971年ノーベル文学賞受賞。そして1973年ピノチェトによるクーデターの12日後死亡した。たくさんの謎があり、この映画も深い。配信されたら、何度でも観たい。ガエルのナレーションが心地よくて、コテっと寝ちゃうかもしれないけど(^_-)