映画「十年」10年後の香港がこんな風にならなきゃいいけど

香港が中国に「返還」されて、今年でちょうど20年。返還時に約束された「一国二制度」が揺らいでいる。
この作品は若手監督・俳優陣によって、低予算で製作されたオムニバス映画。中国本土の影響が強まり、自由が失われた10年後の香港を描く5本の短編によって構成されている。

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政治の裏の駆け引きを描く第一話から始まり、失われた過去の標本を作り続ける男女、英国領事館前で起こった焼身自殺事件に潜む背景、広東語しか喋れず(普通語ができない)失業しそうなタクシー・ドライバー、そして地元産の卵が食べれなくなり、ドラえもんすら禁書となる近未来を描く最終話まで。

もちろんフィクションなんだけど、エピソードは生々しく、現実なのか、フィクションなのか、SFじみていて、ときどきわからなくなる。こんな未来が来ないことを願いつつ観る。

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1990年代「恋する惑星」では、金城くんもフェイ・ウォンもキラキラしてた。(理解できなくても)広東語のアクセントは、どこかトボけたいい味を出していた。ウォン・カーウァイ監督だと「ブエノスアイレス」や「欲望の翼」もよかったなぁ。「君さえいれば 金枝玉葉」「月夜の願い 新難兄難弟」も大好きだった。
あれから約20年。こんなドキュメンタリーを観ることになるなんて、予想もしてなかった。

ただ、こんな未来が現実になると、決まったわけじゃない。未来はこれから作るんだから。

だからこの作品が一般公開され、香港金像奨(香港のアカデミー賞)の最優秀作品賞を受賞したって記事を読んだとき、ホッとした。少なくとも今の香港では、こういう映画が公開される自由はある。しかも大ヒットしたそうだ。

 

でも今の日本だって他人事じゃないんだよね。

 

新宿k'sシネマにて、大絶賛公開中!!!

「十年」予告編 - YouTube